2005年05月20日

危機感を補強材料にするな

性犯罪対策 まだまだ法定刑が甘すぎる

 東京で少女を3カ月間も監禁した無職の男が逮捕され、大阪では女子高生を22日間監禁した露天商手伝いの男が捕まった。一方、子供が被害に遭った性被害事件が昨年は2600件を数え、10年前の1・7倍に増加したことも毎日新聞の調査で分かった。監禁、暴行や誘拐など増加する性犯罪を防ぐため、有効な施策を早急に講じる必要がある。


 まず、最初に断っておきたいのですが、この社説に書かれている「性犯罪の法定刑が軽過ぎるのではないだろうか?」と趣旨そのものに反対するつもりはありません。強姦であるとかいった犯罪に対する刑罰が軽過ぎないか? ということは以前から思っていましたし。
 ただし、この文章の書き方そのものが気に食わない(笑)

 この社説の何が気に入らないかというと、曖昧な表現で危機感を煽ることによって、自らの文章に説得力を持たせようとしている点。ハッキリ言って、この文章に、具体的な数字であるとかは、殆ど載っていませんからね。
 唯一、具体的な数値として出ているのが、最初に引用した「子供が被害にあった性犯罪が10年前の1,7倍」というもの。しかし、実は、この社説の中で自らそれを否定してしまっているんですよね。「年約2500件という強姦の認知件数が、氷山の一角でしかないことも言うまでもない。」と後半部分であるわけですが、全くその通りで「性犯罪は実際の件数と認知件数に大きな差がある」といえます。そして、「認知件数の増減は社会状況などによって異なるため、認知件数が増えたからと言って全体の件数が増えたとは言えない」とも言えます。この事は、先日も書きました。
 ということで、まず、冒頭部分にあった数少ない具体的な数字を消してみました。

 すると、あとは具体性に欠ける事柄で文章の補強をしていることがわかります。
 「性犯罪は再犯性が高いとされ」とありますが、これは「性犯罪だけが飛びぬけて再犯率が高いわけではない」という議論もたくさん見られます。具体的な数字が無いので、私には判断つきかねますが。
 「都市化で地域社会の“防犯力”が低下していることも勘案されねばならない。」という部分に関しては、ただの偏見としか思えませんね。よく、人々の結びつきが弱くなったことで犯罪が増えた、と言われますが私はそうは思っていません。人々の結びつきというのは、良い方向で働けば防犯などにも役立つのでしょうが、悪い方向に進めば内部での犯罪を助長することも考えられるはずです。よく、企業ぐるみの犯罪などが出てくると、「閉鎖された集団の中で、犯罪が日常行為として行われていた」などという言葉を目にします。企業がそうであるならば、地域というものも結びつきが強くなり閉鎖空間となった場合、同じ事が起こり得るのは至極当然の事ではないでしょうか? 逆に、結びつきが弱いからこそ、遠慮無く内部告発、警察への通報などが行われる、という考え方もできます。

 最初にも書いたように、「性犯罪に関する法定刑が軽過ぎるのでは?」「被害者の保護・ケアを重視し、被害届を出しやすくすることが必要」などと言った事に対しては私自身も賛成です。ただし、それを訴えるために、客観性に欠け、危機感を煽るだけの語句を並べ立てることに対しては反対したいところです。

 以上、全く客観的材料を用いらずに行った批判でした(ぉぃ)




posted by まえとも at 15:59| クアラルンプール ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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日本も『ミーガン法』が必要?
Excerpt: 『毎日新聞(05/05/20)』 性犯罪対策 まだまだ法定刑が甘すぎる  東京で少女を3カ月間も監禁した無職の男が逮捕され、大阪では女子高生を22日間監禁した露天商手伝いの男が捕まった。一方、子供..
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